カフェギャラりー杢&木彫工房SYU

洞爺湖町にあるカフェギャラりー杢&木彫工房SYUのブログです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

木曽路

今年もあと20日余りを残すだけとなってしまった。歳をとるごとに一年が早く過ぎてゆく。
もう二ヶ月近くも前の事だが今年のうちに木曽路を旅した事を書いておこう。

甲府の展示会が終わり松本、木曽に行ってみることにした。
甲府から急ぐ事もないので各駅停車の旅、車窓には南アルプスの鋭い峰々が聳え立つ。
鈍行列車はこの地域の人の足であり、訛りを聞けたり乗り降りする人達の生活が垣間見えたりして楽しい。
松本は北アルプスの玄関口、近づくにつれリュックを背負った人達が乗り込んで来る。松本は高三の時、一人旅の途中寄ったことがあったのだが駅に降り立ちビックリ!昔の面影はまるで無く、東京近郊の駅前と何ら変わらない。ビルが立ち並び大型商業施設、チェーン店の看板がずらりと並んでいる。城はどこかと見るがビルに隠れて何処にも見当たらない。
昔は駅から姿を望めたと思うのだが・・・。観光用に作られた城下町を通り城内に入る。

      松本城


さすがに堀に写して美しく立っている姿は半世紀前と変わらず凛々しい。前に来たときに近くの会館のような宿の広間で一人素泊まりをしたのを思い出しながら城に登る。ここも外人が多い。なにか景色は変わらぬのだが空気というか風情が随分変わったような気がする。モノクロ写真とカラー写真との違いとでも言おうか、まあ俺の心のせいかも知れぬが・・・。
信州の旨い蕎麦を食い酒を飲んで中央線に乗り奈良井宿に向かう。ここは仕事で日本中を歩いていた私のお客さんに教えてもらった木曽路の穴場。昔ながらの宿場をそのまま残している町。
奈良井の駅を降りると直ぐに街道沿いに昔ながらの家々が並ぶ。予約していた宿に行くと二階の四畳半の小部屋だという。急な梯子の様な階段を登った部屋は電灯があるだけ、家具もテレビも何も無い。だが格子窓がひとつ、その窓を開けると直ぐ下に街道と町並みが見える俺には最高の部屋。荷を置き町をぶらつくともうすっかり江戸時代の商人の気分。酒屋を見つけ地酒を買い込み、つまみも地物でなにか無いかと訊ねるとこれしかないと出されたものはビンに入った幼虫ハチの子、それも蛹や孵化した蜂も混じって、さすがにこれは食べる気がしなかった。

   奈良井宿


しかしこの町は実に良く保存されている。本当に江戸時代そのままという感じだ。家の軒が長く出た景観、いくつもある水場、中山道を行き交う人達で繁盛していた頃が偲ばれる。
宿に帰り広間で泊まり客皆で食事をするが、この家は160年前に建った様でもとは薬屋だったと言う。高山の建築と同じ様に間口が狭く奥に長く、家の中を廊下代わりの長い土間が裏まで通っており、途中に庭があったりする。客は十五人ほど、半分は外人だった。一杯飲みながら談笑するが、飛騨牛のすき焼き、馬刺しが実に旨かった。近くにある太鼓橋が名所というのでライトアップされた木造の橋を見て帰ると、街道は真っ暗、ぽつぽつと窓に明かりがあるだけ、飲み屋なども無く静寂そのもの。部屋に入り買い込んだ酒を飲みながらすっかり江戸行商人になりきっていたが、メールがありその返信をしていると、何か自分が未来から江戸時代に迷い込んだ人間のような気がしてきた。

    奈良井宿夜



次の日鳥居峠を越えて薮原まで歩くと言うと宿のおばさんが外人の通訳をしてくれたお礼とお結びを握ってくれた。この宿を一人で切り盛りしているケイタイも持ったことが無いという40代のおばさん、なんか良いなあ。
鳥居峠は木曽路の難所と言われていた所というが一時間ほどで峠、紅葉にはまだ早かったが天気も良く気持ち良し。季節外れだが山頭火の「分け入っても分け入っても青い山」を思い出す。熊に注意の看板が立っていたが昔は山賊が沢山居てきっとそっちの方が危なかったんだろうなあ。

  鳥居峠

この峠はこの地方の分水嶺になっていて、ここに落ちた雨は峠を境に方や信濃川となり日本海へ、方や木曽川となり太平洋へと遥かな旅をする。

峠から一時間ほどで薮原、ここも大きな宿場だったのだがこの町は保存されておらずぽつぽつと残る古い家と新しい家が交錯している。何かがさつな感がする。古民家を改造した立派な蕎麦屋で蕎麦を手繰りお六櫛を土産に買った。奈良井宿では塗り箸を買ったがどちらも荷にならぬ土産で文化と言うのはそこの土地が作っているというのを実感。
名古屋に向かう列車に乗り込む前に酒を仕入れようと思ったが駅前に店が無く手ぶらで列車に乗った。途中中津川駅で乗換えがあり、10分程時間が有ると駅を出て酒とつまみを買っていたら乗っていた列車が遅れていたものか乗るはずの快速が動き出してしまった。一時間後にまた列車があったから良いようなもの、時間つぶしに駅前散策する羽目になった。どうも何をやっても落ちが付く!
車窓に木曽川の流れを見ながら名古屋に近づくにつれ、なにか都会に近づくというより過去から現代に疾走している列車に乗っているような気がした。

奈良井宿は俺のようなアナログ人間にとって心に残る落ち着いた実に良いところであった。今のままであって欲しいが、もっと観光地化してしまうか寂れてしまうかどちらかのような気がする。雪景色の時にまた訪れたいが、法律で改築がままならぬ家、二重窓にすることも出来ないと言っていた。真冬は寒いだろうなあ・・・。


SYU
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。